新年あけましておめでとうございます。国の方針でもあり、新型コロナウイルス感染症を疑う症状がある場合に、ご自分で抗原検査を行う方が増えています。ご自分で抗原検査を行う場合の注意点について述べたいと思います。
まず、抗原検査キットを購入する際には、厚生労働省が承認している「体外診断用医薬品」であるかどうか確認して下さい。安価な「研究用」の検査キットが大量に流通していますが、全く役に立ちません。薬局で販売されている物も、Amazonなどインターネットで販売されている物も「研究用」が多く、注意が必要です。Amazonで購入する場合、「抗原検査」と入力すると、パッと目につくのは、「ベストセラー」と表記されている安価な研究用検査キットです。しかし、よく見て頂くと、ベストセラー商品の上に、小さな字ですが、「国が承認した抗原検査キットをお買い求めになる場合はこちらをクリックしてください」という記載があります。指示に従い、クリックすると、一般用体外診断用医薬品に関する説明があり、「一般用SARSコロナウイルス抗原キット」をクリックすると、厚生労働省が承認している「体外診断用医薬品」の商品画面に切り替わります。手間はかかりますし、価格も高いですが、必ず「体外診断用医薬品」を購入して下さい。現在はインフルエンザも同時流行していますので、これから購入されるのであれば、新型コロナウイルスとインフルエンザウイルスを同時に診断できるタイプのキットを選択された方が良いかもしれません。
2点目は、検査のタイミングです。濃厚接触者であることが分かった場合、新型コロナウイルスの感染を疑う症状がある場合、すぐに検査をしたくなると思いますが、少し待って下さい。抗原検査はウイルス量がかなり増えてからでないと正しく判定できません。ウイルス量が少ないと、本当は感染しているのに誤って「陰性」と判断される「偽陰性」にしかなりません。ですから、無症状者が検査したら高確率に「偽陰性」になりますし、咽頭痛や熱などの症状があっても、症状が出た当日は「偽陰性」になることが多いです。症状が出た当日ではなく、翌日以降に検査して下さい。
3点目は、検査の方法です。検査方法によって検査の精度は異なります。「体外診断用医薬品」を使っても、検体の採取方法が正しくなければ、「偽陰性」になります。必ず、事前に説明書をよく読み、採取する部位や手順を確認した上で、検査して下さい。多くの「体外診断用医薬品」は「鼻腔ぬぐい液」で検査するようになっています。「鼻腔ぬぐい液」は、「鼻咽頭ぬぐい液」よりは精度が落ちますが、「唾液」よりは精度が高く、発症翌日以降に説明書の通りに採取すれば、ある程度、正確に検査することができます。しかし、抗原検査で「陰性」と判定されたからと言って、新型コロナウイルス感染症の可能性を100%否定できるものではありません。「偽陰性」で安心した感染者が普通の生活を続けてしまうと、知らないうちに多くの人に感染させてしまいます。抗原検査の結果が「陰性」だった場合も、症状がある間は自宅待機し、日を改めて繰り返し検査することもご検討下さい。3日目、4日目に陽性になることもあります。また、熱や咳が出る病気は新型コロナとインフルエンザだけではありません。症状が続く場合には他の病気の可能性も考慮し、医療機関の受診も必要です。
当院に通院されている患者さんの多くは免疫を抑制する治療中です。当院は構造上、厳密に空間を分けることができませんので、発熱外来は行っておりません。新型コロナウイルスやインフルエンザに感染している可能性がある場合、感冒症状がある場合は、まずは電話でご相談ください。