関節リウマチは発症早期から適切な治療を行うことで寛解を目指すことができます。そのためには、早期診断が重要です。今回は、関節リウマチの診断について基本的な考え方をお話します。
関節リウマチは米国リウマチ学会・欧州リウマチ学会によって2010年に提言された分類基準を基に診断します。腫脹関節数、リウマトイド因子定量(RF)もしくは抗シトルリン化蛋白抗体(抗CCP抗体)、関節炎の持続期間、急性期反応物質をそれぞれ点数化して、合計点が6点を超えれば関節リウマチと分類し、抗リウマチ薬による治療を開始します。
検診などでRFが陽性になると、多くの方がリウマチを心配されますが、RFが陽性というだけでは、リウマチとは言えません。RFは健常者の5~15%が陽性になりますし、何らかの感染症や慢性の肝臓疾患、甲状腺疾患、癌などでも陽性になります。また、発症早期の方では、50%程度でしか陽性になりません。ですから、RFの他の検査結果もふまえて判断する必要があります。
代表的な検査として、抗CCP抗体があります。抗CCP抗体は発症早期の方でも70%で陽性になります。より早期診断に向いている検査です。またRFと異なり、他の疾患で陽性になることは稀です。抗CCP抗体が陽性であれば、「関節リウマチである」もしくは「今後関節リウマチを発症する可能性がある」ことを意味します。抗CCP抗体は予後の予測にも用いることができ、高値(基準値の3倍以上)であるほど、関節の破壊が進行しやすいと考えられています。
急性期反応物質の具体的な検査項目としては、CRPと赤沈を用います。値が高いほど、強い関節炎が存在することを意味します。しかし、関節リウマチ以外の炎症性疾患でも上昇しますので、これらが高値だからと言って関節リウマチと診断することはできません。
分類基準の中には含まれていないものの有用な検査として、MMP-3、単純X検査、超音波検査、関節MRI検査などがあります。MMP-3は滑膜組織から作られる物質です。関節リウマチ患者さんでは、増殖した滑膜の量を反映するとされており、MMP-3が高値(200ng/mL以上)であれば、軟骨の破壊が進行していることを意味しています。診断時だけでなく、治療の効果を判定する際にも使います。単純X線検査は、関節破壊の有無と程度を確認するために行います。発症早期には関節破壊はありません。関節破壊が始まる前に診断し、治療を開始することが重要です。単純X線検査は病状と治療効果を確認するために、診断時のみではなく、経時的に行います。超音波検査やMRI検査は早期から変化がみられるため、早期に診断するために有用と考えられていますが、保険診療で正式に認められておらず、現在はお住いの地域によっては実施できません。残念ながら福岡では認められていません。
以上が関節リウマチの診断に用いる検査です。関節リウマチ専門医は様々な検査の結果を組み合わせて診断し、病状の把握に努めています。検査結果について、わからない点や気になる点がございましたら、外来でご相談ください。