お知らせ

新型コロナウイルスワクチンの安全性について

 マスコミの誤った報道で、ワクチンに対して不安に思われる方が増えているようです。しかし、ワクチンは多くの人ができるだけ短期間のうちに接種することが重要で、「接種しない」という選択をする方が増えると、新型コロナウイルスの流行を止めることができません。今回は、新型コロナウイルスのワクチンについて、安全性の面からお話したいと思います。
多くの方が心配されていることは概ね以下の3点ではないでしょうか。
 1.こんなに早くできたワクチンは本当に安全なのか
 2.接種後の副反応は大丈夫なのか
 3.遺伝子が傷つけられて、長期的に体に害があるのではないか
それぞれ、ご心配には及ばない理由を述べたいと思います。
 
1.こんなに早くできたワクチンは本当に安全なのか
 まず、なぜ短期間で開発できたのかということから述べたいと思います。薬の開発には莫大なお金がかかり、資金の問題で新薬開発が頓挫することも少なくありませんが、今回は、世界中の資本が注入され、研究者が薬の開発に集中することができました。また、製造しても売れなければ困りますし、不具合があった場合に巨額の賠償を求められたら大変です。しかし、今回は、各国が責任をもって買い取り、製薬会社に責任を追及することはないという約束をしています。製薬会社は安心して製造することができました。
従来型ワクチンの製造過程では、培養や弱毒化に時間がかかりますが、今回のワクチンでは新しい手法を用いることで、その時間をカットすることができました。今回作成されているmRNAワクチンは以前から研究が進められていたものですし、ベクターワクチンは既に他の疾患に対して完成していた手法です。突拍子もない方法で作ったワクチンではありません。また、他の新薬開発の手順と同様の厳格なルールは守っているため、第Ⅲ相臨床試験までしっかりと実施されています。臨床試験の結果から、安全性と有効性が担保されていることが確認されていますが、さらに全世界で接種され、日々、そのデータが蓄積されていますので、より安全性と有効性が高まっています。
 
2.接種後の副反応は大丈夫なのか
 どんな薬でも副反応は起こります。新型コロナウイルスのワクチンによるアナフィラキシーが問題になっていますが、1/24に発表された最新のデータでは、アナフィラキシーのリスクは、ファイザーのワクチンで5人/100万人、モデルナのワクチンで2.8人/100万人です。最も多くの人が使っている解熱鎮痛剤に対するアナフィラキシーの頻度は30~500人/100万人であることと比較すると、新型コロナウイルスのワクチンは特別にアナフィラキシーの頻度が高い薬剤ではありません。新型コロナウイルスのワクチンによって生じたアナフィラキシーの大部分は接種後30分以内(多くは15分以内)に生じており、適切な治療を受けて、全員が回復しています。実際に新型コロナワクチンでアナフィラキシーを起こした方のうち90%がもともと別の物(薬や食べ物など)に対するアナフィラキシーの既往があったと報告されています。これまでにアナフィラキシーを生じたことのない方がワクチン接種後にアナフィラキシーを生じる可能性は極めて低いと思われます。現在、新型コロナワクチンでアナフィラキシーを生じる原因として、ポリエチレングリコールやポリソルベートが推測されています。それらの物質にアレルギーがある方以外は、接種可能と考えられています。
 アナフィラキシー以外の副反応については、接種部位の痛み(ファイザー:55歳未満1回目83%、55歳以上1回目71%、モデルナ:65歳未満1回目86.9%、65歳以上1回目74.0%)、発熱(ファイザー:55歳未満1回目4%、55歳以上1回目1%、モデルナ:65歳未満1回目0.9%、65歳以上1回目0.3%)などが報告されています。詳しく知りたい方は、日本感染症学会のホームページで公開されているCOVID-19ワクチンに関する提言をご参照ください。多くの方にとって、安全なワクチンであることがお分かりいただけるかと思います。
 
3.遺伝子が傷つけられて、長期的に体に害があるのではないか
 mRNAワクチンという新しい手法のワクチンに対する正しい知識がないままに、テレビなどで自論を展開されている方がいるようですが、ワクチンの機序を理解すれば、自分の遺伝子は傷つけられないということは明らかです。
 mRNAワクチンには、新型コロナウイルスの成分は一切入っていません。ですから、ワクチンを接種して、新型コロナウイルスに感染するということはありません。接種されたワクチンは筋肉や免疫細胞に取り込まれ、自分の細胞内でS蛋白が作られます。次に、作られたS蛋白が細胞の表面に配置されると、S蛋白に対する抗体が作られます。ここで作られた抗体によって、本物の新型コロナウイルスが体内に入っても、細胞内に侵入することや増殖することができなくなります。例えるならば、敵国(新型コロナウイルス)の機密情報のコピーを入手し、機密情報を基に、上陸作戦を失敗させ、かろうじて上陸されたとしても、予め作成していた武器で総攻撃をしかけて、戦いに勝つというイメージです。機密情報のコピーは、長期間保存するべき情報ではありませんから、国境の整備や武器の製造が終われば、廃棄されます。また、敵国の機密情報のコピー(mRNA)には、自国(自分の体内)の色々な製造工場(細胞)を作り変える機能はありません。

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