イギリスやアメリカで新型コロナウイルスに対するワクチン接種が開始されました。現在、海外で4種類のワクチンが開発され、国内でも2種類のワクチンが治験中となっており、ワクチンが出そろうのも間近となってきました。日本でワクチン接種が始まるまでには、まだ時間がかかりますが、ワクチンについて少しお話したいと思います。
社会全体で考えた場合、ワクチンはより多くの方に受けて頂くことが重要です。多くの人が免疫を持たなければ、流行を防ぐことができないからです。ワクチンによるアナフィラキシーの報告があり、不安に思われる方も多いかと思いますが、「27万人に接種して6人がアナフィラキシーを起こした」ということは、「100万人あたり22人」ということになり、他の一般的なワクチンや薬剤と比較して多いものではありません。皆さんも良く使われる解熱鎮痛剤のアナフィラキシー発生頻度は「100万人あたり30~500人」と言われています。アナフィラキシーを起こしたと聞くと怖いワクチンのように思われるかもしれませんが、他の薬剤と比べれば、特別にリスクが高いわけではないことがお分かり頂けるかと思います。ワクチンに限らず、薬剤による重篤なアナフィラキシーは、短時間の間に生じます。ワクチンによるアナフィラキシーは、接種した医療機関で経過観察している時間に起こりますので、速やかに対処することが可能です。実際、今回生じた22人に対しても、速やかに治療され、回復しています。接種後の発熱など重篤でない副反応については、多くの方に発現する可能性がありますが、接種のメリットを考えると許容できるものではないかと思います。
関節リウマチの治療中の方に対するワクチン接種については、不活化ワクチンであれば、問題ないという考えが一般的です。今回、開発されているワクチンは不活化ワクチンですので、接種によるメリットを考えると、接種していただいた方がよろしいかと思います。
生産や供給に限界があり、希望者全員に一斉に接種することは不可能ですので、ワクチン接種は優先順位を付けて段階的に進めていくしかありません。いつ接種対象となるかは分かりませんが、私もワクチンは接種するつもりです。
<年末年始の休診期間>
12月29日(火)~1月3日(日)
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お知らせ2020.12.24