お知らせ

関節リウマチ患者さんの手術について

 地域の新型コロナウイルスの感染状況によっては、待機手術(生命に直結せず、少し待っても良いと判断できる手術)は延期されます。また、患者さん自身が新型コロナウイルスに感染した場合も待機手術は延期されます(日本麻酔科学会の推奨:感染後7週間の延期)。リウマチ患者さんの中には、予定していた手術が延期になってしまった方もいるかもしれません。新型コロナウイルスの患者さんが増えると、その他の病気の治療が滞ってしまうという例の1つです。残念ながら、感染力が強いウイルスが蔓延している時期には、一緒に入院している別の患者さんから感染する院内感染のリスクもあります。待てるのであれば、感染者が少ない時期を選択した方が良いと思います。
 関節リウマチの治療が進み、昔に比べて手術を必要とする患者さんは減っています。特に滑膜切除術が必要となることは非常に少なくなっています。また、人工関節手術の件数も、ピーク時の60%にまで減少していることが報告されています。では、手術が必要ないかというとそうではありません。適切なタイミングでリウマチの治療を開始し、病勢をコントロールできた方は関節の破壊を免れますが、残念ながら全ての方がそうなるわけではありません。関節リウマチの治療開始が遅れた方、病勢のコントロールが難しい方では、現在でも関節破壊が進行しますし、手術が必要となります。加えて、リウマチではない方と同様に加齢による変形性関節症によって手術が必要となることもあります。
 関節の手術が必要かどうかの最終判断は整形外科医が行います。ただ関節をきれいにするだけでなく、機能を元に戻すことを目標とするならば、手術を行う時期が非常に重要です。手術のタイミングが遅れると、関節を入れ替えて見た目が良くなったとしても、機能(可動域や筋力)は回復しません。正しいタイミングで適切な手術を選択しなければなりません。現在、リウマチ専門医には、整形外科出身の先生と内科出身の先生がいます。手術の判断に関しては、整形外科出身のリウマチ専門医の方が得意です。実際に手術をする(したことがある)ということは大きな強みだと思います。しかし、専門医の認定を各学会ではなく日本専門医機構が行うこととなり、状況が変わりました。新たにリウマチ専門医を目指す医師は内科を専攻し、先に内科専門医を取得しなければなりません。整形外科出身のリウマチ専門医は既に取得済みの医師に限られますので、今後、徐々にいなくなっていきます。リウマチ診療では、手術の他にも、リハビリテーション、装具の選択や採型、補助具の提案、身体障碍者手帳の取得に関わる計測など、整形外科の知識や技術は重要ですので、整形外科医がリウマチ専門医を取得できなくなることは大きな損失ではないかと思います。
 以前より少なくなっていますが、当院の患者さんでも手術が必要になる方はいます。適切な時期に手術することで、多くの方が見た目だけでなく、機能の回復を目指すことができています。日常生活での支障がなくなるだけでなく、好きなスポーツを楽しむことができるレベルにまで機能が改善している方もいます。手術の技術はもちろん重要ですが、どんなに上手な先生が手術しても、時期を逸してしまった方の機能は戻らないという点も多くの方に知っておいてほしいと思います。

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