現在、世界の多くでマスクの着用義務が撤廃され、感染力の高いオミクロン変異体によって感染者数が急増しています。現在流行している変異体は感染力が強く、ワクチン接種済みであっても予防効果は50％前後です。ワクチンを接種していても感染するのであれば、意味がないと考えてしまう方もいますが、ワクチン接種は現在も非常に重要です。感染しても重症化しないで済むこと、long COVIDと呼ばれている長期間続く後遺症のリスクを下げることは非常に大きな効果です。また、ワクチン接種率の低い地域で感染者数や死亡者数が多いことから、全体として見れば、予防効果が高いことも明らかです。
　感染予防効果を高めるためには、これまで接種してきたワクチンではなく、新たに開発されているオミクロン変異体に対応したワクチンが良いのですが、まだ一般に使用できる状況にはありません。うまくいけば、秋頃にはオミクロン変異体にも予防効果を発揮するワクチンを接種できる状況になるかもしれません。これまでの経過と現在の状況を考えると、新型コロナウイルスが消滅することは考えにくい一方、このまま半年ごとに追加接種を繰り返すことも現実的ではありません。安全性や経済的な面から、長期的にはインフルエンザのように年に1回、最もリスクが高い時期を迎える前に接種するというような形になるのではないかと思います。
　重症化リスクの高い基礎疾患をお持ちの方や高齢者は4回目接種のメリットが高いと思います。世界的にも、国内の状況も、また流行期に入った印象です。3回の接種がまだ済んでない方は、今のうちに済ませてください。未接種や不完全な接種（1回もしくは2回のみ）の方と3回接種を終えてから感染した方の経過は全く異なります。まずは多くの方に3回の接種を完了して頂くことが重要です。
　マスクに関しては、撤廃した国々で感染爆発状態になりつつあることや、ウイルスの性質を考えると、屋内での着用は必要と思います。一方、屋外で周囲に人がいない場合にはマスクは必要ありません。マスクが必要かどうかは、場面ごとに異なります。上手に着用していただけたらと思います。
　梅雨が明けたばかりですが、猛暑が続いております。マスクを着けていると喉の渇きを感じにくくなりますので、例年以上に、こまめに水分を摂取することを意識して下さい。