多くの方が、クリニックや病院にかかる際、まずは診療科を調べるのではないでしょうか。「リウマチ科」と掲げているクリニックや病院には「専門医」がいるものだと思われがちですが、実際は違います。日本国内では、「麻酔科」以外は自由に標榜できます。リウマチに関するトレーニングを全く受けていない先生でも、自由に「リウマチ科」と看板を掲げることができます。また、診療科は複数掲げても良いことになっています。医師一人に対して主たる診療科は2つ以内とする原則がありますが、表記の大きさを変えるなどすれば、「内科、外科、胸部外科、大腸内科、アレルギー科、リウマチ科」など多数の診療科を標榜することも可能です。現在医学では、一人の医師が多数の領域を全て深くトレーニングするということは不可能です。複数の医師でそれぞれの専門性を活用している施設であれば安心ですが、医師が一人しかいなくても集患のために多数の診療科を標榜している施設もあります。看板に書いてあるから専門的な治療を受けられる施設とは限りません。
標準的な治療(世界中で推奨されている効果が高い証拠がはっきりと示され、安全性も担保されている治療)を受けるためには、専門医のいる施設を受診することが重要です。現在、日本は専門医制度の過渡期であり、日本専門医機構が認定した専門医、各学会が認定した専門医、各学会や団体が認定した認定医などが混在しています。残念なことに、認定医の中には、特別なトレーニングを必要とせずに取得できるものもあります。専門医に関しても、学会によって基準が異なるため、非常に取得が困難なものから、比較的簡単に取得できるものまで幅があります。患者さんが医師の専門性を判断することは非常に難しいと思いますが、リウマチに関しては、まずは専門医であるかどうかを確認して下さい。
リウマチ性疾患の方は関節症状の悪化に伴い、身体障害者手帳の取得など、治療以外に福祉の知識が必要になることも少なくありません。身体障害者手帳は身体障害者福祉法に基づき、指定医が作成した診断書・意見書を提出して申請します。リウマチ専門医であっても、指定医でなければ身体障害者手帳を申請することができません。また、指定医であっても関節可動域の測定が正しく行える医師でなければ、正しい等級にならず、受けられるはずのサービスが受けられない可能性があります。また、難病指定についても同じことが言えます。
診療科以外にも、専門医を始めとする様々な資格について確認した上で受診されることをお勧めします。