以前のホームページでは、病気以外のことも時々書いていました。現在、平和の祭典であるパラリンピックが開催されている一方で、ロシアがウクライナに侵攻し、戦いが続いています。連日、テレビでウクライナ情勢が伝えられていますが、何の資格もないコメンテーターが無責任な発言をしていることが散見されます。新型コロナウイルスに関する誤った情報が拡散された時と同じ構造に思えます。日本では、芸能人や街の人など素人の意見が「正しいこと」の様に放送されていますが、海外の主要メディアでは、事実を紹介し、その分野の専門家が解説するような番組の構成になっています。私自身、新型コロナウイルスの流行をきっかけに、報道の在り方を考え直した方が良いのではないかと感じ始めました。

　新型コロナウイルスやワクチンに関する情報は、玉石混交ですが、誤った情報は健康被害を引き起こし、場合によっては命に関わる状況にもなり得ます。端的な言葉で断定的に話すコメンテーターの言葉は気持ちが良いかもしれませんが、それでは真実とは違う情報に踊らされる危険があります。また、ある分野で権威と言われる人であっても、違う分野においては素人です。「テレビで言っているから」「偉い人が言っているから」と鵜呑みにしては危険です。医学に関して言えば、日々、新しい知見が生まれ、検証を繰り返されることで、より真実に近づいていきます。最新のデータを基に、これまで考えられていたことが誤りであったと結論付けられることもあります。

　そのような中で、正しい情報を得るには、適切な査読による検証が行われる国際的に高い評価を得ている雑誌に発表された論文に基づく情報であること、その分野の専門家が発し多くの信頼できる専門家が承認している共通認識であること、信頼できる公的機関が発表している情報であることなどを確認して頂くと良いと思います。

　SNSで新型コロナウイルスやワクチンに関するデマを拡散していたグループが、ウクライナ情勢においてもデマを拡散しているという報道もあります。インターネットを通じて多くの情報に簡単にアクセスすることができるようになりましたが、一人一人が正しい情報を得る技術を身につけなければならない大変な時代でもあるのだと思います。