関節リウマチ治療薬として使用中の方も多いバリシチニブ(オルミエント)が、新型コロナウイルス感染症の治療薬として国内でも使用できるようになりそうです。これで、国内の新型コロナウイルス感染症治療薬はレムデシビル、デキサメタゾンに続いて3剤目となります。
昨年2月にイタリアから113例の治療経過が発表され、5月には世界的な治験が開始されておりました。昨年11月には米国で緊急使用許可が出され、続々と有効であったとする論文が発表されておりましたので、期待しつつ国内承認を待っておりました。厚生労働省が効能の追加を了承したのが昨日です。正式な承認手続きが完了し、実際に使用可能になるまでには、もう少し時間がかかりますが、感染者数が急増していますので、治療薬の選択肢が増えることは非常に嬉しく思います。
新型コロナウイルス感染症に対して使用する場合には、オルミエントは単剤使用ではなく、レムデシビルと併用します。バリシチニブを併用することで、重症患者の回復までの期間が8日短縮したとする報告が出ています。地域によっては変異株が主流になっており、重症者の急増によって病床が不足していますので、バリシチニブが早く使用できることを願っております。
バリシチニブは治験での使用を含めると、当院では8年間も使用している薬剤です。論文も執筆し、安全に使用できることが十分に分かっている薬剤が新たに新型コロナウイルス感染症に対しても有効であることが明らかとなり、非常に嬉しく思っています。しかし、バリシチニブを新型コロナウイルス感染症の治療に使うような状況にならないように、引き続き、感染予防(マスクと手指衛生の徹底)に努めましょう。
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お知らせ2021.04.22