他国に大きく遅れてはいますが、新型コロナウイルスのワクチン接種が医療従事者から開始されています。ワクチンの輸入が滞っており、いつ接種できるか分からない状況が続いていますが、皆さんに順番が来た時のために、今回はワクチン接種についてお話します。
現時点では、関節リウマチの患者さんで新型コロナウイルスの感染リスクが高いかどうか、重症化リスクが高いかどうかの明確な答えは出ていません。しかし、関節リウマチの患者さんには、間質性肺炎などの肺疾患、腎疾患、心血管合併症、高血圧、肥満、糖尿病などを合併している場合も多く、高齢者も多いため、関節リウマチとは別に、新型コロナウイルス感染症の重症化リスクを高める要素を持っている方が多くいらっしゃいます。また、関節リウマチの治療が新型コロナウイルス感染症を重症化するリスクもあります。そのため、欧州リウマチ学会と米国リウマチ学会ではワクチン接種を推奨しています。また、日本リウマチ学会は、厚生労働省に対し、「ステロイドをプレドニゾロン換算で5㎎/日以上または免疫抑制剤、生物学的製剤、JAK阻害剤のいずれかを使用中の方」を接種順位の上位に位置付けるように提言しました。ワクチン接種に対して不安をお持ちの方もいらっしゃると思いますが、これまで述べてきた通り、接種することのメリットが圧倒的に大きいため、できるだけ多くの方に接種して頂きたいと思います。
自治体ごとに多少の違いはあると思いますが、接種が可能な時期になったら、「新型コロナワクチン接種のお知らせ」「接種券」「予診票」が届きます。原則、住民票がある市町村で接種します。記載されているワクチン接種場所を確認し、ご自分の行ける場所と日時を確認して下さい。インターネットや電話で事前予約を行います。ワクチンは解凍したらすぐに使用しなければなりませんので、必ず行ける日時を予約してください。配布された「接種券」と「予診票」は接種が完了するまで失くさないように、しっかり保管して下さい。
現時点では、「新型コロナウイルスのワクチン接種時に関節リウマチの治療をどうするか」に関する指針は出されていません。今後、エビデンスを積み重ねた上で、最善の方法が決定されていくと思います。関節リウマチの病状や、治療内容によっても、ワクチン接種前後の対応が異なります。ご自身の使用している治療薬が、ワクチン接種前に休薬が必要な薬剤かどうか、休薬期間をどうするかについては、個別に主治医にご相談下さい。当院では、テーラーメイドな治療を心がけておりますので、お一人お一人に私が説明しております。
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お知らせ2021.04.08